育陶園のコーヒードリッパーができるまで
2026.09.01共有
古きを重んじ、新を生み出す。
育陶園のコーヒードリッパーができるまで

今年の育陶園感謝祭のテーマは、
「古きを重んじ、新を生み出す」。
昔から受け継がれてきた技術を大切にしながら、そこに新しい発想や技術を重ね、今の暮らしに合うものを生み出していく。
そんな今回のテーマを、そのまま形にしたような商品ができました。
育陶園オリジナルのコーヒードリッパーです。

開発に携わったのは、工房で研究開発を担い、3D技術などを取り入れながら育陶園のものづくりの可能性を広げている鶴田貴大と、工房の職人として器づくりに携わる一方、月に2回、育陶園の店舗「Etha」でカフェを営業している成尾皇洋。
新しい技術をものづくりへ落とし込む鶴田と、日々土に向き合いながら、実際にコーヒーを淹れ、お客様へ提供している成尾。
異なる視点を持つ二人が考えたのは、見た目の美しさだけではなく、毎日の道具として使いやすく、おいしいコーヒーを淹れられるドリッパーでした。
そこに、ろくろや線彫りといった育陶園が受け継いできた職人の手仕事も加わります。
新しい技術と、受け継がれてきた技術。
そして、実際に使う人の視点。
それぞれが重なりながら、このドリッパーは生まれました。
二人からのメッセージです。
「自分が使いつづけたくなるものを」
鶴田貴大|工房・研究開発
育陶園の工房で研究開発を担う鶴田さん。
職人による手仕事を大切にしながら、3Dプリンターやデジタル設計などの新しい技術を取り入れ、これまでの方法だけでは難しかった形やものづくりを実現していく、育陶園の技術革新を担う一人です。

「ユーザーとして、自分が使いつづけたくなる」、そんな使いやすいドリッパーができたのではないかなと思っています。
設計としては、皇洋さんと話しながら、「とにかく抜けがよいドリッパー」を目指しました。面ではなく線としてフィルターを支える形にするとともに、内角を深くすることで、上から下までフィルターとドリッパーの間に空間が残るようにしています。星形の形状もそのために採用しました。また、スパイラルにすることで、ペーパー表面で面的に抽出されたコーヒーが、流れながら攪拌されることで空気となじむことも期待していました。
試作品で淹れたコーヒーからは、この設計意図についての効果があっただけではなく、陶器という材質や形状などからも保温や香りなどの点でもプラスとなる部分があるように思いました。設計以上の効果がったようで、とてもうれしく感じています。
本体が立体的で複雑な形状になっている分、加飾はシンプルにした一方で、ロクロでひいた支え部分に唐草が入ったことで華やかさもある、見た目にも特別感のあるドリッパーが出来あがったと思います。
「美しさと機能性を兼ね備えたものを」
成尾皇洋|工房職人・月と珈琲とカフェ店主
工房で職人としてものづくりに携わる成尾は、もう一つの顔を持っています。
月に2回、育陶園の店舗「Etha」でカフェを営業し、自らコーヒーを淹れてお客様へ提供しています。
つくる人であり、日常的にドリッパーを使う人でもある。
今回の開発には、そんな成尾ならではの視点が活かされています。
「美しさと機能性を兼ね備えたオリジナルドリッパー」
このドリッパー開発の話が出たときに考えたのはそんなコンセプトの商品でした。
ドリッパー部分は育陶園の技術開発を担当する鶴田さん。
コーヒー抽出において重要な、豆とお湯の接触する時間や液体の対流などを計算に入れ設計した最適な形を鋳込みによる製造で実現しました。
そしてそのドリッパーを支える土台部分を担当するのは工房の誠さん
ドリッパーの形に合わせて一つ一つろくろでミリ単位の調整を行いながら作成し、そこに唐草模様の線彫りを施し美しさを表現しました。
3Dプリンターと鋳込み技術で生み出す今までにない新しい形のドリッパーと、職人の手から生み出される伝統の唐草模様を施した土台。
育陶園の持つ技術の粋を詰め込んだまさに"古きを重んじ、新を生み出す"今回の感謝祭でリリースするのにぴったりな商品になりました。

従来のドリッパーよりもリブ(溝の部分)を深く大きくすることでお湯を注いだ時にコーヒーから発生するガスの抜けがよくなりコーヒー全体から余すことなく成分を引き出します
しかしそれだけだとお湯が一気に流れてしまいどうしても薄いコーヒーになりがちなため、ひねりを加えコーヒーとお湯の接触する時間を長くすることで雑味やえぐみ等のいらない成分は残したままおいしい部分だけを抽出します。
浅煎りから深煎り、粉の細挽きから粗挽きまで様々なコーヒーにこれ1つで対応できる、そんなドリッパーを目指しました。
個人的なオススメは近年主流になりつつある浅煎りのコーヒーを普段よりも少し細挽きに
通常のドリッパーだと目が詰まりお湯の抜けが悪くなりますがこのドリッパーだとその心配がないのでコーヒーのもつ甘みやフルーツのような酸味を最大限に引き出してくれます。ぜひお試しください。
3D技術と、職人の手仕事
今回のドリッパーづくりには、育陶園が取り組んできた新しい技術と、長く受け継がれてきた職人の技術、その両方が使われています。
特徴的なドリッパー本体は、鶴田が3Dデータを使って設計。
3Dプリンターなどを活用して形を検証し、鋳込みの技術によって製造することで、従来のろくろだけではつくることが難しかった複雑な形状を実現しました。
一方、そのドリッパーを支える土台は、職人が一つひとつろくろでつくります。
ドリッパー本体にぴたりと合うよう、ミリ単位で調整しながら形を整え、そこへ育陶園で受け継がれてきた唐草模様を線彫りで施していきます。
デジタルで形を考えること。
職人が土に触れ、手の感覚で形をつくること。
新しい技術が昔からの技術に置き換わるのではなく、それぞれの得意なところを活かしながら、一つのものをつくる。
それが、今の育陶園が目指すものづくりの一つです。


受け継いだ技術から、その先をつくる
育陶園では、ベテランの職人から若い職人へ、日々の仕事の中で技術が受け継がれています。
ろくろの感覚、土の扱い方、釉薬の加減、線彫りの手の動き。
言葉だけでは伝えきれない技術も、同じ工房で一緒に手を動かす中で少しずつ受け継がれていきます。
けれど、技術を受け継ぐことは、これまでとまったく同じものをつくり続けることだけではありません。
先人から受け取った技術を土台に、次の世代が新しい技術や考え方を加え、また次のものづくりへつなげていく。
研究開発から生まれる新しい形。
職人が培ってきたろくろや線彫りの技術。
そして、実際にコーヒーを淹れ、使う中から生まれた視点。
それぞれが一つになって、このドリッパーが生まれました。
古きを重んじ、新を生み出す。
今年の感謝祭のテーマを、一杯のコーヒーを淹れる道具に込めました。
いつものコーヒーの時間とともに、今の育陶園のものづくりも感じていただけたらうれしいです。

コーヒーが落ちる部分は、星のかたち。
ドリッパーの底に小さな星をしのばせました。
ドリッパーを支える土台部分は工房の誠さんの技術により、形に合わせて一つ一つろくろでミリ単位の調整を行いながら作成し、そこに唐草模様の線彫りを施し美しさを表現しました。


育陶園感謝祭に向けて製作した、数量限定のコーヒードリッパーです。
感謝祭の3日間、育陶園本店にて限定販売。
さらに今回は、成尾セレクトの珈琲豆付き。
ドリッパーと一緒に、育陶園ならではの珈琲時間をお楽しみください。
感謝祭終了後の販売は未定です。
気になる方は、ぜひこの機会にご覧ください。

感謝祭期間中は、このドリッパーを使った「ふるまいコーヒー」も開催。
実際にコーヒーを淹れながら、使う楽しさまで味わっていただけます。
【育陶園 感謝祭2026】
日程| 10月10日(土)・11日(日)・12日(月・祝)
時間| 10:00~18:00※店舗・施設によって営業時間が異なります。
場所| 育陶園 各施設
・育陶園本店・Kamany・gumaguwa・Etha・nan*ne・壺屋のいりぐち・育陶園やちむん道場・育陶園 工房

