沖縄に梅雨の気配が漂いはじめる頃、道ばたに目をむけると、月桃(げっとう)の花が静かに咲きはじめます。
白くふっくらと房のように連なり、風に揺れるその姿は、どこか柔らかく、凛とした美しさ。
壺屋のすーじぐゎー(裏路地)や、家々の庭先、井戸のまわりや拝所(うがんじゅ)のそばなど、日々の暮らしに寄り添うように咲いています。目にするだけで懐かしく、あたたかい気持ちにさせてくれます。
生命力にあふれた鮮やかな緑の月桃の葉。沖縄ではこの葉でムーチー(餅)を包んだり、月桃紙として用いたり、実からとれる種を乾燥させてお茶にしたりと、暮らしの中でさまざまに活用しています。
また葉には抗菌作用があるため、やちむんの器に葉を敷いて料理を盛りつけると、彩りが美しくなるだけでなく、清潔さも保たれます。そして香りもまた、月桃の魅力のひとつ。さわやかな中にもほんのり甘さを感じさせるスパイシーな香りは、料理の風味を引き立ててくれます。魚料理やご飯もの、デザートにまで幅広く活用できるのも、月桃ならではの魅力です。
沖縄料理・ジューシーも、おにぎりにしてやちむんに盛り付けるとよいかんじです。こちらのやちむんは、7寸皿白唐草線彫です。
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成長が早く、葉をたくさん摘んでも、すぐに新しい葉が顔を出します。自然の恵みとして、日々の暮らしの中で無理なく取り入れることができるのも、月桃のありがたさです。
この季節になると、自然と口ずさむ歌があります。
「月桃の花」という、平和への願いが込められた曲。
月桃の花が咲くこの時期に聴くと、花のやさしさと重なって、心に深く染み入ります。
壺屋の町並みを歩きながら、白く揺れる月桃の花を探してみてくださいね。
きっと、どこか懐かしく、やさしい沖縄の風景に出会えるはずです。
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